固い食べ物を噛んだときや、何気ないタイミングで奥歯に痛みを感じます。いつのまにかむし歯になってしまったのでしょうか?
新宿スワン歯科・矯正歯科からの回答
食事や運動の最中など、日常生活の中で歯に痛みを感じることがあるでしょう。
奥歯の痛みにはさまざまな原因が考えられますが、もっとも可能性が高いのはむし歯の症状です。
歯の痛みはむし歯が原因の可能性が高い
歯が痛んだりしみたりする場合は、むし歯が進行している可能性があります。むし歯になるメカニズムは、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)内に潜む「むし歯菌」によって引き起こされるというものです。口腔内の糖分を餌にしてむし歯菌が酸を出し、少しずつ歯の表面のエナメル質を溶かします。むし歯の初期症状では痛みや出血などがなく、自覚できることはほとんどありません。
むし歯は、ごく初期の段階であれば入念な歯磨きやフッ素塗布によって治せる場合がありますが、症状が進行するにつれて、自然に治癒させるのが難しくなってしまいます。とくに奥歯は食事や運動の際に噛みしめる部分であるため、むし歯を放置しておくのは得策とはいえません。
むし歯を放置しておくと抜歯の恐れも
むし歯の進行具合によって、治療内容や治療期間が大きく変わってきます。むし歯の初期段階である「CO」の段階では、歯の表面のエナメル質が溶かされ始めている状態ですが、治療を行わなくても毎日の適切なブラッシングによって治癒が期待できます。
しかし、これが「C1」の段階になると、歯のエナメル質に穴が開き、表面が黒く見えるようになります。この段階でも痛みを感じることはほとんどありませんが、まれに甘いものがしみる場合があります。C1まで進行したむし歯は再石灰化によって修復することができないため、患部を少し削り詰め物をして治療します。
「C2」と呼ばれる状態になると、むし歯がエナメル質の内部にある象牙質まで達してしまいます。このときに熱いものや冷たいものを食べると痛みを感じることがあります。「C3」と呼ばれる状態まで進行すると、むし歯が神経まで達してしまうため、常に痛みを感じてしまいます。つまり、常に「奥歯に痛みを感じる」のは、C3の段階までむし歯が進行している可能性があるのです。
むし歯の放置で根尖病巣などの原因に
むし歯を放置しすぎると、手遅れになってしまう場合があります。「C4」と呼ばれる状態になると、歯の神経が死んでしまうため一時的に痛みを感じなくなりますが、歯根部分にまでむし歯が達すると、再び激しい痛みに襲われます。歯茎に膿が溜まって腫れる状態を「根尖病巣(こんせんびょうそう)」といい、歯根の先端に溜まった膿の袋から排出される毒素によって、歯茎の炎症や顎の骨が次第に溶かされてしまいます。根尖病巣を治療せずに放置しておくと、抜歯せざるを得ない可能性が高まってしまいます。
なるべく痛みを感じないむし歯の治療方法
大切な歯を失わないために、痛みなどの違和感が出た場合はすぐに歯科医院を受診するようにしましょう。むし歯によって削ったり抜歯したりした歯は、二度ともとには戻せません。天然歯に勝る人工歯はないため、早期発見によって軽度の治療で済ませることが大切です。
しかし、歯科医院でのむし歯治療と聞くと、どうしても「痛い」「怖い」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか? 近年の歯科医療技術は常に進歩を続けていて、痛みを感じにくい治療を実現できるようになりました。新宿スワン歯科でも、できるだけ痛みを抑えた歯科治療を実践しています。
表面麻酔
通常、歯科治療を行う際には治療中の痛みを感じにくくするために、麻酔注射を行います。個人差はありますが、麻酔注射を歯茎に刺す際に痛みを感じることがあります。そこで当院では、歯茎に注射を指す前に、表面麻酔を行っています。これは歯茎の表面にゼリー状の表面麻酔を塗布し、2~3分待って十分に麻痺させてから注射を行う方法です。痛みをほとんど感じることがないので、麻酔注射に不安を持っている方にもおすすめです。
局所麻酔
注射で行う麻酔のことを局所麻酔といいます。むし歯の治療やインプラント治療、親知らずの抜歯など、歯科治療の幅広い分野で使われています。治療箇所にのみ麻酔を効かせるため、ピンポイントで痛みを感じにくくさせることが可能です。
ちなみに、治療箇所の歯茎に麻酔薬を注入する方法である「潤滑麻酔」や、奥歯など麻酔が効きにくい場所への治療時に行う「伝達麻酔」があります。
静脈内鎮静法
静脈内鎮静法とは、歯科治療やその際に感じる痛みに対し、より大きな不安を持つ方に対して行う麻酔法です。腕の静脈に点滴で鎮静剤を注入し、うとうとと眠ったような状態での治療が可能です。治療中は専門の麻酔担当医が血圧や呼吸の状態をチェックしているので安心してお受けいただけます。
根管治療で可能な限り大切な歯を残す
むし歯が進行し、根尖病巣など神経が失われ歯根に膿が溜まった状態でも、「根管治療」を行うことで抜歯せずに歯を残せる可能性が高まります。根管治療とは、マイクロスコープなどを使って患部を拡大し、肉眼で捉えられないほど極小の部分を治療する方法です。
根管治療ではむし歯菌に侵された部分を完全に除去し、無菌化してから薬剤を詰めて閉じます。これによって歯根部分を清潔に保ち、むし歯の再発を防止します。最後に、歯根に蓋をした部分に土台を立て、その上から人工歯冠(被せ物)を装着して完了です。
新宿スワン歯科・矯正歯科 院長より
歯が痛んだりしみたりするようになったら、まずはむし歯を疑ってみてください。歯科医院で検査し、できるだけ早く適切な治療を受けるのが重要です。ごく初期のむし歯は自力で治癒させることもできますが、進行したむし歯は歯科医院での治療が不可欠になります。歯根にまで達したむし歯には根管治療が必要になり、治療が複雑になるため通院いただく期間も長くなってしまいます。
「むし歯かな?」と思ったら早めに歯科医院を受診してください。お口の中のトラブルは早期発見、早期治療が重要です。定期検診によって初期むし歯を発見し、軽い治療で済ませられるのが理想です。もちろん、歯が痛む原因のすべてがむし歯というわけではありません。その点も含めて、定期検診を受けるなど日頃から歯と歯茎のケアを怠らないようにしましょう。