毎日歯を磨いているのに、すぐに虫歯ができてしまう・・・
歯周病がなかなか治らない・・・
最近、口臭が強くなった気がする
このようなみなさまは、もしかしたら、歯石が溜まっているのかもしれません。毎日の歯磨きで歯垢(プラーク)を取り除くことは基本ですが、同じくらい重要なのが定期的に歯石を除去すること。「痛みもないし、不快感もないし、なんで歯石を取らなければいけないの?」と思う方もいるかもしれませんが、お口の健康を維持していくうえで歯石取りは欠かせないケアです。
今回は、「歯石取り」について理解を深めていきましょう。
そもそも歯石とは?歯垢と何が違う?
歯垢は、歯の表面に付着するネバネバした細菌の塊のこと。これ自体が直接、虫歯や歯周病の原因になります。一方、歯石は歯の周りにこびりついた石のようなもので、死んだ細菌の塊です。歯石そのものが悪さをすることはありませんが、放置しておいて良いことは一つもありません。
歯石を放置しておくと・・・
歯石は歯垢が石灰化してできるもので、表面が硬くザラザラしています。そのため、歯石ができるとその上に歯垢が付着しやすくなってしまいます。つまり、歯垢が溜まりやすい状態になり、間接的に虫歯や歯周病のリスクを高めることになってしまうのです。
歯石は自分では取り除けない!?
歯垢は食後8時間くらいで形成されると言われていますが、歯垢を放置していると、およそ2~3日で石灰化して歯石に変わります。いったん歯石になると、もう歯磨きで取り除くことはできません。
強いブラッシングはNG!
「歯磨きで歯石を落とせる」と誤解していて、ゴシゴシ磨く人もいるようですが、これはリスクをともないます。強い力を入れて磨いても、歯ブラシでは歯石は落とせません。逆に、強い力で磨くことで健康な歯茎を傷付けたり、歯の表面(エナメル質)を削ったりしてしまうおそれがあります。
市販のスケーラーはNG!
歯石は、歯科医院で「スケーラー」という先端が尖った器具で取り除いてもらうのが基本ですが、最近ではネット通販などでスケーラー(に似た)器具が販売されており、これを試す人もいるようです。しかし、自分でスケーラーを使うのはおすすめできません。鏡を使っても見にくい口の中にスケーラーを入れて手探りで歯石を取ろうとすると、誤って歯の表面(エナメル質)や歯茎を傷付けてしまうおそれがあります。「歯医者に行くのは面倒だから」「費用を安く済ませたいから」といった理由で自分で歯石除去をするのは、少なからずリスクがあることを覚えておいてくださいね。
歯石取りには技術が必要!
一般的に歯科医院では、歯石の量や場所などによって手動のスケーラーと超音波スケーラー(超音波の振動で歯石を破壊する器具)を使い分けて効率的に歯石を取り除いています。歯石は、歯と歯茎の間の狭い隙間などに付着しているため、これを取り除くには専用の器具に加え、それを使いこなす技術が必要。やはり、スケーラーを正しく操作する訓練を積んでいる歯科衛生士・歯科医師に任せるのが安心です。
新宿スワン歯科・矯正歯科 院長より
「歯垢が溜まる」→「歯石に変わる」→「歯石の上に新たな歯垢が溜まる」→「新たな歯石ができる」――この悪循環を理解していただけたでしょうか。定期的に歯石を取り除かないと、虫歯や歯周病、口臭を招く原因になります。歯石が溜まってきたら、できるだけこまめに歯科医院で取り除いてもらいましょうね。
次回の歯科コラムは、1月28日(木)の公開を予定しております。ぜひお楽しみに。