自分の歯並びに悩んでいる人はたくさんいますが、悩んでいる人の数に対して、矯正治療を受けたことがある人の数はそれほど多くはありません。裏を返せば、矯正で歯並びをきれいにしたいと思っていながらも、不安やマイナスイメージが先立ち、なかなか治療に踏み切れない方が多くいるということです。
そこで今回は、100人の方に矯正治療に対するイメージを聞いてみました。結果は右のグラフのとおり。もっとも多かったのは「治療費が高い」というもので、次いで「装置が目立つ」「時間がかかる」という順になりました。アンケートの回答も交えながら、近年の矯正治療のトレンドを解説していきましょう。
矯正治療費で車が買える!?
矯正は「治療費が高い」と回答した人
・矯正は保険がきかず高いと聞くので、それなら今の歯並びで我慢しようと思う。(30代/女性)
・とにかく高すぎる。100万以上もかかるなんてとても無理。(20代/女性)
・車1台買えるくらいの金額というイメージがある。(40代/男性)
一言で「矯正治療」と言っても、症例や治療方法によって費用は変わってきます。たしかに、一般的な歯科治療に比べると高額になりますが、「車1台買える」というのは、少し大げさな印象かもしれませんね(もちろん、車の値段もピンキリですが・・・)。
回答者の中には、子供の頃、親から「矯正はお金がかかる」と言われたという方が多くいましたが、子供の頃とは何年前のことでしょうか?矯正治療は日進月歩で進化しており、不正歯列の程度によっては少ない費用負担で改善できる方法も登場しています。また、基本的には保険がききませんが、重度の不正歯列の場合は保険が適用になるケースもあります。加えて、医療費控除(多額の医療費を支払った際に所得控除を受けられる制度)の対象となるケースがあることも知識としては押さえておきたいところです。「高そう・・・」というイメージだけで矯正治療を受けることをためらっている方は、実際に歯科医院で治療費を見積もってもらうと良いでしょう。
≫ 医療費控除について
矯正装置はワイヤーだけじゃない!?
矯正は「装置が目立つ」と回答した人
・矯正治療は銀色の針金がずらっと並んでいるイメージがあり、写真を撮るのに抵抗がありそう。(30代/男性)
・装置が目立って矯正をしていることが分かってしまうなら、やりたくないなと思う。(20代/女性)
「装置が目立つこと」は矯正治療をためらう要因になると思いますが、多くの回答者の方は「矯正」と聞いて、歯の表側に金属(銀色)の針金を付けて歯を動かす「ワイヤー矯正」を思い浮かべているようです。しかし実際には、このタイプの矯正装置を選ぶ人は以前より少なくなってきています。
近年では装置の選択肢が増えており、「目立たない」「見えない」矯正装置・矯正法も登場しています。たとえば、歯の裏にワイヤーを付ける裏側矯正(舌側矯正)なら周囲から装置が見えませんし、透明のマウスピースを装着して矯正する目立たない方法も一般的になっています。
≫ 治療の前に知っておきたい!矯正装置の基礎知識
≫ マウスピースで歯並びを矯正できる!?
矯正をする期間とその後の人生、どちらが長いですか?
矯正は「時間がかかる」と回答した人
・昔、友達が長い間、矯正装置を付けていた。(30代/女性)
・器具を装着してずっと生活をしていかなければならず、時間がかかるイメージがある。(20代/女性)
治療期間を短縮できる矯正法も注目されていますが、やはり矯正治療は長い期間を要します。もちろん装置を付けている間は、通常の生活に比べれば制約が多くなります。しかし、治療後に手に入る「美しい歯並び」は一生の財産になるはずです。矯正後の長い人生を考えたら、矯正治療に要する期間は決して長くないのではないでしょうか。
≫ 矯正治療ってもっと早く終わらないの?という方へ
新宿スワン歯科・矯正歯科 院長より
上述のとおり、矯正治療は日々進化を続けており、必ずしもすべてが「治療費が高い」「装置が目立つ」「時間がかかる」わけではなくなっています。先入観を持たずにぜひ、最新の矯正事情を知っていただきたいと思います。そうすれば、あなたの矯正治療に対するイメージも変わってくるかもしれません。
次回の歯科コラムは、1月14日(木)の公開を予定しております。ぜひお楽しみに。